二人が睦まじくいるためには、愚かでいるほうがいい。
立派すぎないほうがいい。
立派すぎることは長持ちしないことだと、
気づいているほうがいい。
完璧をめざさないほうがいい。
完璧なんて不自然なことだと、うそぶいているほうがいい。
ふたりのうちどちらかがふざけているほうがいい。
ずっこけているほうがいい。
互いに避難することがあっても、
非難できる資格が自分にあったかどうか、
あとで疑わしくなるほうがいい。
正しいことを言うときは、少し控えめにするほうがいい。
正しいことを言うときは相手を傷つけやすいものだと、
気づいているほうがいい。
立派でありたいとか、
正しくありたいという無理な緊張には色目を使わず、
ゆったり豊かに光をあびているほうがいい。
健康で風に吹かれながら生きていることの懐かしさに、
ふと胸が熱くなる。
そんな日があってもいい。
そしてなぜ胸が熱くなるのか、
黙っていても二人にはわかるものであってほしい。
風が吹くと 吉野弘
引き出しを整理してたら出てきました。
前の彼氏のおかあさんが、私の誕生日にくれた手紙といっしょに
入れてくれた詩です。なんだか涙が出ました。
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